純金積立は、手軽に金投資を始められる方法として注目を集めていますが、本当におすすめできるのでしょうか。
実は、純金積立には高い手数料やインカムゲインが得られないなど、いくつかの落とし穴があります
本記事では、純金積立の仕組みとメリットを解説しつつ、おすすめできない4つの理由を詳しく説明します。
さらに、純金積立よりもお得な現物保有の方法や、賢明な金投資の方法についてもご紹介。
金投資に興味がある方は、ぜひ参考にして、自分に合った投資方法を見つけてください。
純金積立とは?仕組みとメリットを解説
純金積立は、毎月一定額または一定量の金を購入し、積み立てていく投資方法です。
金融機関や貴金属販売会社が提供しており、契約後に専用の口座を開設することで始められます。
純金積立の仕組み
純金積立には、大きく分けて2つの方式があります。
- 定額積立:毎月決まった金額(例えば1万円)で金を購入する方式。金の価格が変動しても、毎月の購入額は一定です。
- 定量積立:毎月決まった量(例えば1グラム)の金を購入する方式。金の価格が変動すると、毎月の購入額も変動します。
積立金は、運営会社を通じて売却することで現金化できます。
売却価格が購入価格を上回れば、その差額が利益となります。
また、金の現物(延べ棒や金貨など)を受け取ったり、運営会社が提供するジュエリーや貴金属と交換ができます。
純金積立の特徴は、少額から始められること、そして定期的に金を購入できることです。
これにより、金投資の敷居が下がり、多くの人が金投資を始めやすくなりました。
純金積立の最低投資額と積立期間
純金積立の最低投資額は、運営会社によって異なります。1,000円から始められるところもあれば、1万円以上からしか始められないところもあります。
また、積立期間も運営会社によって異なります。最短で1年、長いところだと20年以上の積立期間を設定しているところもあるので、ライフプランに合わせて、最適な積立期間を選ぶことが大切です。
純金積立のメリット
純金積立には、いくつかのメリットがあります。
- 少額から始められる:投資の敷居が低く、手軽に金投資を始められます。
- 価値が安定している:金は世界的に認められた安全資産であり、価値が比較的安定しています。経済の混乱時にも、金の価値は維持される傾向にあります。
- ドルコスト平均法が活用できる:金の価格が高い時には少なく、安い時には多く購入することで、平均取得単価を下げることが可能です。
ドルコスト平均法とは?
ドルコスト平均法とは、金融商品を一定の間隔で一定の金額で購入することで、平均取得単価を下げる投資手法です。価格変動の激しい金融商品の購入に適しています。価格が高い時に少なめに、安い時に多めに購入することで、全体の平均取得単価を引き下げることが可能です。
ドルコスト平均法は、株式投資でも広く使われている手法です。株価の変動に惑わされずに、淡々と投資を続けることができるのが特徴です。
ただし、長期的に金融商品の価格が下落し続ける場合は、平均取得単価を下げることはできても、損失を避けることはできません。あくまでも、価格の変動を平準化する効果のみと理解しましょう。
金の価値が安定している理由
金は、古くから貨幣や装飾品として使われてきました。現在でも、多くの国で外貨準備の一部として金を保有しています。金が価値の尺度として使われてきた歴史もあり、金の価値は比較的安定しています。
また、金は希少性が高く、新たに採掘される量も限られているため、供給量は安定しており、価値の大きな変動を招きにくいといわれています。
金が「逃避資産」としての役割を果たすため、経済の混乱時には、金の価値が上昇する傾向があります。株式や債券など他の金融商品の価値が下がる中で、金の価値は維持されるか、上昇することが多いです。
純金積立がおすすめできない4つの理由
純金積立は一見魅力的に見えますが、実はデメリットも少なくありません。ここでは、純金積立がおすすめできない4つの理由を詳しく説明します。
高い手数料で利益が減る
純金積立の最大の問題点は、高い手数料です。一般的に、純金の購入には2%〜3%の手数料がかかります。一方、株式投資の手数料は1%程度であることを考えると、
純金積立の手数料の高さは際立っています。
仮に金の価格が5%上昇したとしても、3%の手数料を差し引くと、実質的な利益は2%になってしまいます。さらに、純金積立には年会費や口座管理料などの追加コストもかかる場合があり、これらも利益を圧迫します。
手数料を考えると、純金積立で大きな利益を得ることは難しいといえます。
純金積立の手数料の内訳
純金積立の手数料は、主に以下の3つで構成されています。
- 購入手数料:金を購入する際にかかる手数料。金の購入価格に対して、一定の割合で課されます。
- 年会費:純金積立の口座を維持するために、毎年かかる手数料。数千円から数万円程度が一般的です。
- 口座管理料:純金積立の口座を管理するために、毎月かかる費用。数百円から数千円程度が一般的です。
運営会社によって手数料は異なるので、純金積立を始める前に、手数料の内訳を確認し、トータルのコストを把握しておくことが大切です。
インカムゲインが得られない
純金積立では、ただ金を保有していても利益は得られません。
株式投資であれば、配当金や株主優待といったインカムゲインを得られる可能性がありますが、金投資では金の価格が上昇しない限り、純金積立では利益を得ることができません。
金の価格が横ばいであれば、手数料分だけ損をすることになります。
インカムゲインとは
インカムゲインとは、投資によって得られる定期的な収入のことを指します。株式投資における配当金や不動産投資における家賃収入などが代表的な例です。一方、金投資では金の価格が上昇しない限り、定期的な収入を得ることはできません。
株式投資であれば、配当金を再投資することで複利効果を得ることができ、不動産投資であれば、家賃収入によってローンの返済を行いながら、資産を築いていくことが可能なため、インカムゲインは投資家にとって重要な収入源の一つです。
一方、金の価値は、金の価格の上昇のみに依存しているため、金投資にはインカムゲインがありません。
金の配当について
金には配当がないと説明しましたが、厳密には金ETFや金鉱山株などで配当を得ることはできます。
金ETFは、金の価格に連動する上場投資信託です。金ETFの中には、金の現物を保有しているものもあり、金の貸し出しによる収益
を配当として投資家に還元しているものがあります。
また、金鉱山株は金の採掘を行う企業の株式で、採掘した金を売却することで収益を得ています。そして、その収益の一部を配当として株主に還元しています。
ただし、金ETFや金鉱山株の配当は、金の価格や企業の業績に大きく左右されます。
また、配当利回りも株式投資と比べると低めです。したがって、インカムゲインを重視する投資家にとっては、金ETFや金鉱山株は魅力的とはいえないでしょう。
売買価格の差による損失リスク
純金積立では、スプレッドという金の購入価格と売却価格の差額が、他の投資商品と比べて大きい傾向にあります。このスプレッドが大きいほど、利益が減少することになります。
例えば、100グラムの金を購入して1年後に売却したと仮定します。スプレッドが5%であれば、金の価格が5%以上上昇しない限り、利益を得ることはできません。スプレッドが広いということは、利益を得るハードルが高いということです。
スプレッドが大きい理由
純金積立のスプレッドが大きい理由は、主に以下の2つが考えられます。
小口取引であること:純金積立は少額から投資できることがメリットですが、裏を返せば小口取引です。小口取引は、大口取引と比べて手数料が高くなる傾向があります。
販売会社の利益確保:純金積立を提供している金融機関や貴金属販売会社は、スプレッドによって利益を得ています。スプレッドが大きいほど、販売会社の利益は大きくなります。
スプレッドの大きさは、運営会社によって異なるため、純金積立を始める前に、スプレッドがどの程度なのかを確認しておくことが大切です。
金の価値は相対的に決まるため投資に不向き
金の価値は、他の資産との相対的な関係で決まります。つまり、金そのものの価値が上昇するのではなく、他の資産の価値が下がった時に、相対的に金の価値が上昇します。
例えば、経済が混乱し株価が下落した時や、通貨の価値が下がるインフレが起きた時などに、金の価値は上昇します。逆に、経済が安定し株価が上昇すれば、金の価値は相対的に下がります。
金の価値は経済状況に左右されやすく、単独で価値が上昇することは期待しにくいです。したがって、金は投資というよりも、経済の混乱に
備えるための保険的な資産と捉えるべきでしょう。
金の価値を決める要因
金の価値を決める要因は、大きく分けて以下の3つがあります。
経済状況:景気の悪化や金融不安などが起こると、金の価値は上昇する傾向があります。逆に、景気が安定し、株式市場が活況を呈すると、金の価値は下がる傾向があります。
通貨の価値:金は、通貨の価値を測る尺度としても使われています。通貨の価値が下がる(インフレが起こる)と、金の価値は上昇します。逆に、通貨の価値が上がる(デフレが起こる)と、金の価値は下がります。
需給バランス:金の需要が増えれば、金の価値は上昇します。逆に、金の供給が増えれば、金の価値は下がります。金の需要は、景気や通貨の価値、地政学的リスクなどに影響を受けます。
これらの要因が複雑に絡み合って、金の価値は決まっていきます。金投資を行う際は、要因を注視し、適切なタイミングで投資を行うことが大切です。
金の現物の種類
金の現物には、主に以下の3つの種類があります。
金地金:純度が高い金のことを指します。金地金は、延べ棒や金貨の形で販売されています。
金地金は、金の含有量が多いため、投資用としても人気があります。
金貨:金貨は、金地金の一種ですが、コインの形をしています。金貨は、コレクション用としても人気があります。代表的な金貨としては、アメリカのイーグル金貨、カナダのメイプルリーフ金貨などがあります。
金製品:金製品は、ジュエリーなどの装飾品のことを指します。金製品は、金の含有量が少ないため、投資用としてはあまり適していません。ただし、金製品は、金の価値に加えて、芸術的価値や希少価値がある場合があります。
金の現物を購入する際は、自分の目的に合った種類を選ぶことが大切です。投資が目的であれば、金地金や金貨がおすすめです。
タイミングを見計らった売買で利益を最大化金の現物を持っていれば、金の価格が高騰した時に売却することで、大きな利益を得られる可能性があります。
純金積立では、一定の間隔で定額または定量の金を購入するため、金の価格が高い時でも購入を続けることになります。
しかし、現物を持っていれば、金の価格が高い時に売却し、安い時に購入するということが可能です。
このように、金の現物を戦略的に売買することで、利益を最大化できる可能性があります。
金の売買のタイミング
金の売買のタイミングを図るためには、金の価格の動向を常にチェックしましょう。金の価格は、世界経済の動向や政治的イベントなどに大きく左右されます。
例えば、以下のようなタイミングで金を売買することが考えられます。
・金を買うタイミング:
世界経済が不安定になり、株価が下落している時
通貨の価値が下がり、インフレが懸念される時
地政学的リスクが高まっている時
・金を売るタイミング:
世界経済が安定し、株価が上昇している時
通貨の価値が上がり、デフレが懸念される時
地政学的リスクが低下している時
ただし、金の価格の動向を完璧に予測することは不可能です。金の売買は、あくまでも自己責任で行いましょう。
金の保管方法
金の現物を購入した場合、その保管方法にも注意が必要です。金は、盗難のリスクがあるため、自宅に保管するのは避けた方が無難です。
金の保管方法としては、以下のようなものがあります。
金庫:金庫の利用料は高額になる場合がありますが、金を安全に保管できます。
貸金庫:貸金庫の利用料は、金庫よりも安価です。
金の保管サービス:金の保管を専門に行うサービスがあります。
金の保管方法は、金の量や自分の予算に合わせて選ぶことが大切です。
賢明な金投資の方法
では、金投資を行うにはどのような方法があるのでしょうか。本記事では、賢明な金投資の方法を3つご紹介します。
資産の一部として長期的に保有
金は長期的に保有することで、資産の安定性を高める効果が期待できます。金融資産と金の現物を組み合わせることで、リスクの分散ができます。
ただし、金の価値は短期的には大きく変動することもあるため、長期的な視点を持つことが大切です。
金を資産の一部として保有する際は、全体の資産に占める金の割合を適切に設定することが大切です。一般的には、金への投資は資産全体の5%〜10%程度が目安とされています。
また、金投資は長期的に行うことが大切です。短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、10年、20年といった長期的なスパンで金を保有するという姿勢が大切です。
現物を少額から購入
金の現物は、少額から購入が可能です。例えば、数グラムの金地金やコインから始めることも可能です。
少額から始めることで、金投資のリスクを抑えつつ、徐々に投資額を増やしていくことが可能です。
金の現物を購入する際は、信頼できる販売店を選ぶことが大切です。販売店の信頼性を確認するためには、以下のような点に注意しましょう。
● 金の品位を保証しているか
● 金の買取価格が適正か
● 金の販売価格が適正か
● アフターサービスが充実しているか
これらの点を確認することで、信頼できる販売店を見つけることが可能です。
金投資は分散投資の一環として
金投資は、株式や債券、不動産などと組み合わせることで、分散投資の一つとして活用できます。
分散投資とは、様々な資産に投資することで、リスクを分散し、安定的な収益を目指す投資手法です。金は株式や債券とは異なる値動きをするため、分散投資に適しています。
分散投資とは?
分散投資とは、一つの資産だけでなく複数の資産に投資を行い、リスク分散し、安定的なリターンを目指す投資手法です。株式、債券、不動産、コモディティなど異なる資産を組み合わせることで、一つの資産の価格変動による影響を抑えることが可能です。
分散投資を行う際は、以下のような点に注意しましょう。
- 資産の種類を分散
- 地域を分散
- 時間を分散
金投資の割合
金投資を分散投資の一環として行う際は、金への投資の割合を適切に設定することが大切です。
前述の通り、自分の投資目的やリスク許容度によって変わりますが、金への投資は資産全体の5%〜10%程度が目安とされています。リスク許容度が低い人は、金への投資の割合を低め
に設定することが賢明です。逆に、リス크許容度が高い人は、金への投資の割合を高めに設定することもできます。
また、投資目的によっても金への投資の割合は変わってきます。例えば、資産を守ることが目的であれば、金への投資の割合を高めに設定できます。逆に、資産を増やすことが目的であれば、金への投資の割合を低めに設定し、他の資産への投資を増やすことも一つの手段です。
まとめ:純金積立のリスクを理解し、賢明な金投資を
純金積立は、手軽に金投資を始められる方法ですが、高い手数料やインカムゲインが得られないこと、スプレッドの大きさなど、デメリットも多くあります。
純金積立よりも、金の現物を戦略的に売買する方が、利益を得られる可能性が高いと言えます。
ただし、金投資にもリスクはあります。金の価格は短期的に大きく変動することがあるため、長期的な視点を持つことが重要です。
また、金投資はポートフォリオの一部として、株式や債券などと組み合わせることで、リスクを分散することが可能です。
金投資を始める際は、自分の資産状況やリスク許容度を考慮し、過度に偏ることなく、分散投資の一環として金を活用しましょう。
最後に、金投資に限らず、投資は自己責任で行うことが大切です。投資には常にリスクが伴うことを忘れずに、自分に合った投資方法を見つけていきましょう。
投資は、人生を豊かにする手段の一つですが、投資に夢中になるあまり、本来大切なものを見失ってしまっては本末転倒です。
投資は、あくまでも自分の人生を豊かにするための一つの手段に過ぎません。家族との時間を大切にしたり、自分の趣味に時間を使ったり、健康的な生活を送ったりすることも、とても重要です。
金投資を始めるにあたっては、まずは自分の人生をどのように豊かにしていきたいのかを考えることから始めてみてはいかがでしょうか。そして、その目標を達成するための手段の一つとして、金投資を位置づけることが大切です。
金投資は、あなたの人生をより豊かにするための一つの選択肢です。ぜひ、自分に合った金投資の方法を見つけて、豊かな人生を送ってください。