近年、大学生の間でFX取引が人気となっています。
スマホで気軽にトレードできる手軽さや、レバレッジを効かせて一攫千金を狙える魅力に惹かれる学生も多いようです。
しかし、FXには大きなリスクが伴うことを忘れてはいけません。
知識不足のまま取引に臨み大損したり、勉強そっちのけでFXに没頭するあまり学業に支障をきたすケースも少なくありません。
本記事では、大学生がFXで失敗するパターンや、トレードがもたらす精神的負担について解説します。
FXに挑戦する前に、ぜひ参考にしてみてください。
FXに夢中になる大学生が増加中
スマホでいつでもどこでもトレードできる手軽さ
FXは、スマートフォンさえあればいつでもどこでもトレードが可能です。
空き時間を使って気軽にチャートをチェックしたり、通学中の電車の中で売買したりと、24時間365日取引ができるのが魅力です。
講義の合間に少しトレードして小遣い稼ぎをする、なんて学生も増えているようです。
便利な反面、このような手軽さゆえについトレードのしすぎで日常生活に支障をきたすケースもあるので注意が必要です。
少額から始められるので学生にもハードルが低い
FXは少額の資金から始められるというのも、大学生に人気の理由の一つです。
数万円程度の余剰資金でもレバレッジを効かせることで、数十万円分の取引が可能となります。
いきなり大金を投資するよりも、少額から練習がてらトレードを始められるので、投資初心者の学生にとってはハードルが低く感じられるのでしょう。
ただし、少額とはいえ無計画に資金を突っ込むのは危険です。
余剰資金の範囲内でリスクを把握しながらトレードを行うことが重要です。
レバレッジで一攫千金を狙える魅力
大学生がFXに惹かれるもう一つの理由が、レバレッジを効かせて大きな利益を狙えることです。
レバレッジとは、少ない資金で大きな取引ができる仕組みのことを指します。
例えば、10万円の資金で25倍のレバレッジをかければ、250万円分の通貨を売買できます。
為替レートのわずかな変動で大きな利益を得られる可能性があるのです。
「10万円が100万円になったら嬉しいな」と夢見る学生は多いでしょう。
しかし、ハイリターンを狙えるということは、同時にハイリスクであるということを忘れてはいけません。
レバレッジは諸刃の剣なのです。
大学生がFXで失敗するケースとは
知識不足のまま取引して大損する
FXで失敗する大学生に共通しているのが、知識不足のまま取引に臨んでしまうケースです。
チャートの見方から経済指標の分析、リスク管理の方法など、FXで勝つためには専門的な知識が必要不可欠です。
しかし、そういった知識をしっかりと身につけずに取引を始める学生が後を絶ちません。
適切なエントリーポイントもわからず、損切りのタイミングもつかめないまま、気づいたら口座の残高がほぼゼロになっていた、なんてことも珍しくありません。
勉強を疎かにして学業に支障をきたす
FXにのめりこむと、勉強が疎かになってしまう危険性もあります。
相場の値動きが気になって講義に集中できない、レポートや試験勉強をする時間がFXに奪われてしまうなど、学業に支障をきたすケースが多々見られます。
大学生である以上、学業が何より優先されるべきです。
FXに使う時間と労力は、本来の勉学に充てるべきでしょう。
トレードで得た利益よりも、落とした単位の方が遥かに大きな損失だということを肝に銘じておきましょう。
借金してまでFXに手を出してしまう
大学生がFXで失敗するもう一つのパターンが、借金をしてまで取引に手を出してしまうケースです。
最初のうちは余剰資金の範囲内でトレードをしていたものの、負けが込むと「取り返さなければ」という焦りから、友人からお金を借りたり、キャッシングをしたりして資金を用意する学生もいるようです。
しかし、借りたお金は返さなければなりません。
ましてFXで資金を溶かしてしまっては、返済のめども立たず借金地獄に陥ってしまいかねません。
「借金してでもFXを」というのは論外です。
感情的になって冷静な判断ができなくなる
FXでは、常に冷静な判断力が求められます。
しかし、大学生は社会経験が浅いだけに、感情のコントロールがうまくいかないこともあります。
ポジションが含み益になれば強気になるあまり利食いが遅れ、含み損になればナーバスになって狼狽売りしてしまうなど、
感情に振り回されて冷静な判断力を失うと、本来避けられたはずの損失を出してしまったり、チャンスを逃したりしてしまいます。
相場に臨む際は、常にクールな頭を保つよう心がけましょう。
ギャンブル感覚でFXに臨んでしまう
大学生がFXで失敗する最後のパターンが、ギャンブル感覚で取引に臨むケースです。
FXは、適切な知識と戦略に基づいたトレードを行えば、配当などで着実にリターンを得られる投資商品の一つです。
ですが、中には「FXは宝くじのようなもの」「一発当てればラッキー」なんて考えでトレードする学生もいるのです。
チャートも見ずにただ当たることを祈るように買い注文し、負ければ「運が悪かった」で済ませてしまうと、いつまでたってもFXで勝ち続けることはできません。
根拠のない取引はギャンブルと同じなので、投資である以上、ギャンブル感覚は捨てましょう。
FXによる精神的なストレスと健康被害
値動きに一喜一憂して心が休まらない
FXでは、常に相場の値動きが気になって心ここにあらずといった状態になる場合があります。
含み損を抱えているとそればかりが頭をよぎり、含み益が出れば今こそ利食いのチャンスかもとそわそわし、チャートから目が離せず、スマホを手放せないことも起こり得ます。
いつ寝ても朝起きれば真っ先にレートを確認してしまうなど、トレードのことを考えない時間がまるでないのです。
心の休まる暇がないというのは、精神的にかなりの負担となります。
大学生として勉学に励む上でも良くない影響を与えかねません。
損失による自己嫌悪と自信喪失
FXで損失を出してしまうと、自己嫌悪に陥ったり自信を失ったりしてしまうものです。
せっかく貯めた資金を溶かしてしまった自分を責め、二度とトレードなんてするまいと投げやりな気持ちになります。
「自分には投資なんて無理なんだ」と、FXのみならず投資そのものに臆病になってしまう学生もいるでしょう。
大切なのは、損失をバネに再起することです。
ただし、同じ轍は踏まないよう、リスクをしっかり管理しながら慎重にトレードを続けることが何より重要です。
失敗を恐れず、学び続ける姿勢を大切にしたいものです。
FXのせいで友人関係がおろそかになる
FXに熱中するあまり、友人関係がおろそかになるのもよくないことです。
「FXの勉強で忙しいから」と、遊びの誘いを断ってしまう。
友人との会話でも、為替の話ばかりして白けムードに。
果ては、「FXやってる○○ってなんか変わっちゃったよね」なんて陰口を言われてしまうかも。
大学時代の友人関係は、社会人になってからも大切な財産となります。
が、FXに心血を注ぎすぎるとせっかくの友情関係も壊れかねません。
友達とのキャンパスライフを心豊かに過ごすためにも、FXにかける時間は適度なものにしておきたいものです。
勝てないことによるイライラで生活リズムが乱れる
FXでなかなか思うように利益を出せないと、イライラが募ってきます。
「どうすれば勝てるんだ!」と、チャートとにらめっこしている間に日が暮れてしまったりと、生活リズムがめちゃくちゃに。
授業にもまともに出席できず、バイトもろくにこなせない有様では、健全な学生生活は送れません。
イライラから解放されるためにも、ある程度割り切ってトレードから離れることも必要。
心に余裕を持ち、規則正しい生活を送ることが、勝つためのコツでもあるのです。
FXをやめたほうが良い大学生の特徴
上記のようなリスクを避けるためにも、FXはやめておいた方が良い大学生がいます。
FXのことをよく理解せずにやろうとする人
まずは、FXの仕組みもよくわからないのに、「なんとなく儲かりそうだから」という安易な理由で始めようとする学生はFXに向いていません。
証拠金取引である以上、レバレッジリスクなど基本的なことは理解しておく必要があります。
デモトレードなどで実際の取引の流れを把握し、トレードスタイルを確立してから臨むべきでしょう。
その時間と手間を惜しむようでは、FXで利益を得るのは難しいかもしれません。
FXに使うお金が必要経費にまで食い込んでいる人
学生にとって投資に回せるお金は、あくまでも余剰資金の範囲内であるべきです。
学費や教科書代、生活費などあらゆる必要経費を差し引いても余裕があるお金で行うのが賢明です。
仮に損失を被っても痛手とならない程度の金額に抑えておきましょう。
「FXで学費を稼ごう」なんて考えは、博打に等しい危険な発想です。
FXに回すお金が生活を圧迫するようであれば、手を引く勇気も必要です。
FXで損をすると感情をコントロールできなくなる人
FXトレードでは、損失は避けて通れません。
むしろ、小さな損失を積み重ねながら利益を出していく戦略の方が堅実だったりします。
ですが、負けると感情的になってしまう学生は要注意です。
悔しさのあまり、つい深追いしてしまったり、リベンジトレードに走ってしまう恐れがあり、取り返しのつかない大損につながりかねません。
常に冷静でいられる自信がない人は、FXから距離を置くのが賢明と言えます。
自分に合ったトレードスタイルを確立できない人
自分に合ったトレードスタイルを見つけられない学生も、FXには向いていないかもしれません。
デイトレード、スキャルピング、スイングトレードなど、FXには様々な手法があります。
それぞれに特徴とリスクがあるので、自分の性格や生活スタイルと照らし合わせて最適なものを選ぶ必要があります。
しかし、どの手法が自分に合うのかを見極められず、いつまでも一定の利益を上げられないようでは、FXで勝ち続けるのは難しいでしょう。
トレードスタイルが定まらない時点で、FXに向いていないのかもしれません。
まずは自分の投資目的を明確にし、それに見合った取引手法を探るところから始めてみましょう。
FXの代わりにおすすめの投資方法
大学生がFXの代わりに検討したい投資法をいくつかご紹介します。
少額から始められる長期投資の積立NISAやiDeCo
NISAとは
NISAとは、少額投資非課税制度の略称で、投資した際に得られる利益に対する税金が一定の条件で非課税となる制度のことです。
年間40万円までの投資が可能で、最長20年の非課税期間が設けられています。
手数料が安く、少額から投資を始められるのが魅力です。
学生のうちから計画的にコツコツ投資を行うのにピッタリの制度と言えます。
iDeCoとは
iDeCoとは、個人型確定拠出年金の略称です。
職場に企業型の確定拠出年金制度がない人でも、老後に備えて自助努力で資産形成ができる私的年金制度です。
掛金は全額所得控除の対象で、60歳まで原則引き出せない代わりに、運用益に税金がかからないメリットもあります。
将来を見据えた資産形成を可能にしてくれる制度なのです。
元本が保証されているMMFなどの金融商品
FXのようなハイリスクな投資が不安な学生には、元本が保証されている金融商品がおすすめです。
中でもMMF(マネー・マネージメント・ファンド)は、国債など安全性の高い金融商品で運用されているため、元本割れのリスクがほとんどありません。
利回りはさほど高くはないものの、堅実に資産を増やしていきたい人に向いた商品と言えるでしょう。
普通預金の金利より高いので、眠らせておくだけではもったいない余剰資金の運用先としてもおすすめです。
分散投資ができる投資信託
投資信託は、多数の投資家から集めた資金をプロのファンドマネージャーが株式や債券などに分散投資する金融商品です。
世界各国の株式や債券、特定の分野に投資するファンドなど、その種類は様々です。
自分の投資目的やリスク許容度に合ったファンドを選ぶことで、効率的な分散投資が可能となります。
少額から購入できるのも、学生にとっては魅力の一つなので、まとまった資金がなくても投資を始めやすいでしょう。
以上のような堅実な運用を心がけることで、学生時代からじっくりと資産形成をしていくことができるはずです。
一攫千金を狙うのではなく、安定したリターンを得ながら経済的な自立を目指すのが賢明だと言えます。
まとめ:大学生はFXにはまだ早い
ここまで述べてきたように、大学生にとってFXはリスクの方が大きい投資法だと言えます。
本業である学業に支障が出るレベルまでのめりこんでしまっては、元も子もありません。
無理のない範囲で取り組める他の運用を検討してみるのが賢明でしょう。
もしどうしてもFXで利益を出したいのであれば、まずは知識をつけることから始めましょう。
デモトレードで経験を積み、リスク管理の方法をマスターするのも大切なステップです。
正しい知識を身につけて経験を重ね、資金管理にも気をつけながらコツコツトレードを積み重ねていくことが何より大切なのです。
学生のうちはFXで一攫千金を狙うより学業に集中を
改めて言うまでもなく、学生にとって一番大切なのは学業です。
授業に出席し、レポートを書き、サークル活動や友人との交流を楽しみ、バイトで社会経験を積むのも立派な勉強になるでしょう。
FXで一攫千金を狙うよりも、学生らしい充実したキャンパスライフを過ごすことに集中すべきなのです。
無理のないペースでコツコツ貯金することから始めよう
投資を始める前に、まずは着実に貯金をする習慣をつけておくことをおすすめします。
月々の収支を把握して、毎月一定額を貯金に回し、奨学金などの余剰資金を、定期預金などで少しずつふやしていくなど、
地道な作業かもしれませんが、これこそが堅実な資産形成の第一歩です。
学生時代からコツコツ貯めることで、社会人になってからの投資の原資にもなります。
まずは、じっくりと時間をかけて自分なりの貯蓄方法を確立してみてはいかがでしょうか。
社会人になって経済的にゆとりが出てからFXに挑戦
FXは、ある程度の経済的余裕がないと心理的にも辛い投資法だと言えます。
学生のうちは、収入が限られている分、投資資金にも限りがあるでしょう。
利益どころか損失を出してしまえば、致命的なダメージを受けてしまいます。
ですから、経済的に自立するまではFXから距離を置くのが賢明です。
社会人になって安定した収入を得られるようになってから、改めてFXに取り組んでみるのがおすすめです。
無理のない資金でゆとりを持って臨めば、精神的な負担も軽減されるはずなので、時期尚早なFXトレードよりも、その日が来るまでしっかりと貯蓄に励むことを優先すべきでしょう。
また、常識の範囲内でコツコツ資産形成に励むことが学生時代の健全な金銭感覚を身につける一番の近道なのではないでしょうか。
投資はあくまでも副業であり、学業を疎かにするようでは本末転倒ですので、FXにまつわるリスクを冷静に考えた上で、自分に合った運用方法を模索してみてください。