大学生活を送る上で、学費や生活費などの経済的な負担は大きな悩みの一つです。アルバイト収入だけでは賄いきれない費用を補うために、ローンを検討する学生も少なくありません。
しかし、安易にローンを組むことは、長期的な金銭的負担やトラブルのリスクを伴います。
本記事では、大学生がローンを組む前に知っておくべきリスクと注意点について詳しく解説します。
大学生がローンを組む主な理由とは
学費や生活費を賄うため
大学に通うためには、授業料や教材費、住居費など多くの費用がかかります。
奨学金や親からの支援だけでは足りず、学費や生活費を賄うためにローンを検討する学生もいます。
特に、地方から都会の大学に進学する場合、住居費や交通費などの出費が大きくなるため、ローンを組まざるを得ない状況に陥ることもあるでしょう。
アルバイト収入だけでは足りないから
多くの大学生がアルバイトを掛け持ちしながら学業とのバランスを取っていますが、アルバイト収入だけでは学費や生活費を賄うのは難しいのが現状です。
授業の予習・復習や課題、サークル活動などに時間を割くため、アルバイトに費やせる時間は限られています。
また、昨今の経済状況では、アルバイトの時給も伸び悩んでいるため、十分な収入を得ることが困難になっています。
大学生がローンを組むことのリスク
高金利による返済額の増加
学生ローンの金利は、一般的な消費者金融のローンと比べても高めに設定されています。
金利が高いということは、借りた元金以上の金額を返済しなければならないということです。
例えば、金利が年率15%のローンで100万円を借りた場合、5年間で返済する総額は約140万円にもなります。
高金利によって返済額が増加することで、長期的な金銭的負担が重くのしかかることになるのです。
長期的な金銭的負担
大学生がローンを組むことで、卒業後も長期にわたって返済を続けなければならなくなります。
社会人となってからの収入は不安定であり、ローンの返済が生活を圧迫する可能性があります。
また、結婚や出産、住宅購入など、人生の大きなイベントの際にも、ローンの存在が足かせとなってしまうかもしれません。
長期的な金銭的負担を考えると、安易にローンを組むことは避けたほうが賢明です。
延滞や滞納によるトラブルの可能性
大学生がローンを組んだ場合、アルバイト収入が不安定であったり、就職活動が思うように進まなかったりすると、返済が滞ってしまう可能性があります。
延滞や滞納が続くと、金融機関から取り立てを受けたり、法的措置を取られたりするなど、深刻なトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
また、連帯保証人を立てている場合は、保証人にも迷惑をかけることになります。
延滞・滞納による影響
延滞とは、返済日までに約定金額の返済ができないことを指します。
一方、滞納とは、延滞が長期化し、数ヶ月以上返済ができない状態を指します。延滞や滞納が続くと、以下のような影響が生じます。
- 金融機関から督促状が届く
- 延滞損害金が上乗せされ、返済額が増加する
- 信用情報に傷がつき、他のローンが組みにくくなる
- 法的措置(訴訟、差し押さえなど)を取られる可能性がある
延滞や滞納のトラブルは、社会人になってからの人生にも大きな影を落とすことになるため、くれぐれも注意が必要です。
信用情報への影響とその後の人生へのリスク
ローンの返済が滞ると、個人の信用情報に傷がつきます。
信用情報とは、個人の借入金額や返済履歴などが記録されたデータベースのことです。この情報は、金融機関がローンの審査を行う際に参照されます。
ブラックリストとは
信用情報に傷がつくと、ブラックリストに登録されてしまう可能性があります。
ブラックリストとは、ローンの返済が滞っている、または過去に滞納歴がある人を登録したリストのことです。
一度ブラックリストに載ってしまうと、新たなローンの申し込みが通りにくくなったり、クレジットカードの作成が難しくなったりします。
ブラックリストに登録されると、その情報は最長10年間保持されます。
その間は、新たな借り入れが制限されるだけでなく、就職や賃貸物件の契約の際にも不利になることがあります。
信用情報の傷は、その後の人生に大きなリスクをもたらすのです。
大学生がローンを避けるべき理由
学業に専念できなくなる可能性
大学生がローンを組むと、返済のためにアルバイトに追われ、学業に専念できなくなる可能性があります。
授業の予習・復習や課題、研究活動など、本来なら学業に費やすべき時間を、アルバイトに割かざるを得なくなるのです。
その結果、成績が振るわなかったり、留年してしまったりするリスクが高まります。
せっかく大学に進学したのに、ローンのために学業が疎かになってしまうのは本末転倒です。
将来の選択肢が狭まるリスク
大学卒業後も、ローンの返済に追われ続けることで、将来の選択肢が狭まってしまうリスクがあります。
例えば、やりたい仕事があっても、収入が安定しないからと諦めてしまったり、独立や起業への挑戦を躊躇したりすることになりかねません。
また、結婚や出産、住宅購入など、人生の大きなイベントの選択肢も限られてしまうかもしれません。
ローンの存在が、将来の可能性を狭めてしまうのです。
借金癖がつく危険性
学生時代にローンを安易に利用することで、借金癖がついてしまう危険性があります。
一度借金に手を染めてしまうと、「お金に困ったらローンを組めばいい」という安易な考えが習慣づいてしまうのです。
社会人になっても、ローンに頼り続ける生活を送ることになれば、いつまでたっても借金から抜け出せなくなってしまいます。
借金癖は、人生を台無しにしかねない危険な習慣だと言えるでしょう。
大学生がローンの代わりにできる選択肢
奨学金制度の利用
ローンの代わりに、奨学金制度を利用するのも一つの選択肢です。
奨学金には、返済の必要がない給付型奨学金と、卒業後に返済が必要な貸与型奨学金の2種類があります。
日本学生支援機構の奨学金
日本学生支援機構は、国が実施する奨学金制度であり、最も利用者が多い奨学金です。
第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)があります。
・第一種奨学金:学業優秀で経済的に困難な学生が対象。
返済は卒業後で、所得に応じて返済額が決まる。
・第二種奨学金:学業・人物に優れ、経済的理由により修学が困難な学生が対象。
在学中は無利子だが、卒業後は利子がつく。
その他にも、大学独自の奨学金制度や、民間団体が提供する奨学金制度もあります。
奨学金は、ローンと比べて返済の負担が少なく、学業に専念できるメリットがあります。
アルバイトの工夫と節約
アルバイト収入を増やすために、効率的なシフトの組み方や、高時給の仕事を探すなどの工夫をすることも大切です。
また、日々の生活の中で無駄な出費を見直し、節約を心がけることで、ローンに頼らずに学生生活を送ることができるかもしれません。
節約のコツ
- 食費:自炊を心がける、外食は控えめに、割引やクーポンを活用する
- 交通費:自転車や徒歩での通学、学割の活用
- 娯楽費:無料のイベントに参加する、図書館で本を借りる
- 住居費:一人暮らしより寮や実家暮らし、シェアハウスの利用
少しの工夫と節約で、ローンに頼らない学生生活を送ることができるはずです。
家族からの支援を受ける
家族に経済的な事情を正直に話し、支援を受けることも検討してみましょう。
一時的な支援でも、ローンを組むよりは負担が少なくて済むはずです。
家族としっかり話し合い、理解を得ることが大切です。
ただし、家族に迷惑をかけすぎないよう、支援を受ける期間や金額は最小限に留めるのが賢明です。
また、家族から支援を受けた分は、アルバイト等で返済する努力を怠らないようにしましょう。
大学生がローンを組む前に考えるべきこと
本当にローンが必要かどうかの見極め
ローンを検討する前に、本当にローンが必要なのかどうかを冷静に見極める必要があります。
一時的な出費のために、長期的な借金を背負うことがないよう、慎重に判断しましょう。
まずは、支出を見直し、無駄な出費を削減する努力が大切です。
また、奨学金制度やアルバイトなど、他の選択肢について詳しく調べてみることをおすすめします。
ローンは、あくまでも最後の手段として検討するべきものなのです。
返済計画のシミュレーション
どうしてもローンを組まざるを得ない状況なら、事前に返済計画のシミュレーションを行いましょう。
毎月の返済額と、返済期間を具体的に把握することが大切です。
返済シミュレーションの例
ローン額 | 金利 | 返済期間 | 毎月の返済額 | 返済総額 |
---|---|---|---|---|
100万円 | 5% | 5年 | 18,871円 | 1,132,283円 |
100万円 | 5% | 10年 | 10,607円 | 1,272,893円 |
返済シミュレーションを行うことで、ローンの返済が将来の生活にどれだけの影響を与えるかを予測できます。無理のない返済計画を立てられるかどうか、慎重に見極めましょう。
ローンに頼らない生活スタイルの確立
ローンに頼らずに学生生活を送るためには、節約や計画的なお金の管理が欠かせません。
無駄な出費を避け、優先順位をつけて支出を管理する習慣を身につけましょう。
また、アルバイトは、学業との両立が可能な範囲で行うことが大切です。
無理なく続けられるペースで、コツコツと収入を得る努力が必要不可欠です。
ローンに頼らない生活スタイルを確立することで、卒業後も健全な経済生活を送ることができるはずです。
親や専門家への相談
ローンを検討する際は、一人で悩まずに、親や専門家に相談することをおすすめします。
経済的な問題は、一人で抱え込むと視野が狭くなりがちです。
親に相談することで、家族からの支援を得られるかもしれません。
また、学生相談室や奨学金窓口、消費生活センターなどの専門機関に相談することで、適切なアドバイスを受けられる可能性があります。
周囲の人や専門家の意見を参考にしながら、ローンに関する判断を慎重に行うことが賢明です。
まとめ:大学生活をローンに頼らずに乗り切るために
ローンのリスクを正しく理解することの重要性
大学生がローンを組む前に、ローンのリスクを正しく理解することが何よりも重要です。
高金利による返済額の増加、長期的な金銭的負担、延滞や滞納によるトラブル、信用情報への影響など、ローンが将来に与える影響を十分に認識しておく必要があります。
安易にローンを利用することは、一時的な金銭的な問題を解決するかもしれませんが、長期的には大きなリスクを伴います。
ローンのリスクを正しく理解し、慎重に判断することが、健全な学生生活を送るための第一歩となるのです。
計画的な学生生活を送ることの大切さ
大学生活をローンに頼らずに乗り切るためには、計画的に学生生活を送ることが大切です。
支出を見直し、節約を心がけ、優先順位をつけてお金を管理する習慣を身につけましょう。
また、奨学金制度やアルバイトなど、ローン以外の選択肢を積極的に活用することも重要です。
奨学金は返済の負担が少なく、学業に専念できるメリットがあります。
アルバイトは、学業との両立が可能な範囲で、コツコツと収入を得る努力が必要不可欠です。
計画的な学生生活を送ることで、ローンに頼らずに学費や生活費を賄い、充実した生活を送ることができるはずです。
周囲の支援を受けながら、自立した人生を歩むことの意義
大学生活は、自立への第一歩を踏み出す重要な時期です。
経済的な問題に直面した際は、周囲の支援を受けながら、自立した人生を歩むことが大切です。
家族や大学、専門機関などに相談し、支援を受けることで、一人で問題を抱え込まずに済みます。
ただし、支援を受ける際は、自立心を忘れずに、自分の力で問題を解決する努力も怠らないようにしましょう。
周囲の支援を受けながら、自立した人生を歩むことは、社会に出てからも役立つ重要な経験となります。
大学生活で培った自立心と問題解決能力は、きっと将来の糧になるはずです。
ローンを安易に利用するのではなく、計画的な学生生活を送り、周囲の支援を受けながら、自立した人生を歩むことが、大学生活を有意義なものにするでしょう。
ローンのリスクを正しく理解し、賢明な判断を下すことが、充実した大学生活を送るための鍵となります。